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知られざる日常は
「ねぇ、天一」
時は平安。
陰陽師の家としてその名を都中に轟かせている安倍の家で、彰子はいつものように昌浩と、とりとめのない雑談をしていた。
話題が途切れたところで、彰子は虚空を見つめて声をかけた。
「なんでしょうか、姫」
優しい声とともに、綺麗な少女が現れた。次いで、少女の隣に少年が現れる。
少女は土将天一、少年は火将朱雀。共に安倍晴明の式神である、十二神将だ。二人とも彰子の護衛に任についていて、最近は昼食の後にこうして彰子と雑談をすることが多かった。
彰子は天一の方を見て、子犬の様に可愛らしく首を傾げた。
「天一と朱雀は、いつもこうしてわたしと一緒にいてくれるじゃない?」
「はい」
「ほかの神将たちは、普段は何をしているのかしら」
「あ、それ、俺も知りたい。気になってたんだ。神将って、じぃさまの命を受けてない時は何をしてるのかなって」
「……」
天一は困ったように朱雀を見た。どうやら、答えは持ち合わせていないらしい。
愛しい少女の助けを求めるような視線を受け、朱雀は考えながら口を開いた。
「天空の翁と天后、大裳は、何時晴明から命を受けても動けるように、異界で待機している。太陰は……玄武を連れ回して遊んでいたな」
本人が聞いたら「遊んでないわ!これは修行よ!」とかなんとか否定しそうである答えを、朱雀は苦笑しながら口にした。玄武はきっと、否定はしないが、迷惑だと言わんばかりにため息をつくだろう。
次に天一が口を開いた。
「勾陣は、天后と一緒にいることが多かったと思います。騰蛇は、言うまでもなく……」
昌浩は頷いて、己の傍らで丸くなっている物の怪を見た。これが十二神将最強の戦士とは、どうしても思えない昌浩だった。
彰子は騰蛇が物の怪に変化していると言うことを知らないので首を傾げていたが、きっと自分は知らなくてもいいことなのだろうと考えていた。
「白虎は太陰たちのお守りだったな。六合は最近昌浩についているだろう?」
「うん。……青龍は?」
「あぁ、あいつは晴明の護衛だ」
「晴明様の護衛は、やはり四闘将でなくてはという、翁の采配です」
最も、青龍の方から希望しているのかもしれないが。
「ふぅん。こう考えると、全員が暇な時ってないんだねぇ」
「十二神将って大変ね」
他人事の様に言うと、昌浩と彰子はまた別の話を始めた。
神将たちから見ると毎回大事に巻き込まれる二人の方が大変なのだが、朱雀も天一もそれを口には出さなかった。
話を弾ませる昌浩と彰子に降り注ぐ日差しは、今日もとても暖かかった。
+++
ものすごく遅れましたが、鈴音様に捧げますっ><
キリバンリクエストの「十二神将中心の小説」です。
こんなものでよければ、月鈴音様のみお持ち帰りください。
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無題
ありがとうございます!!
十二神将は個性的で皆楽しいですよねッ☆
すばらしい小説をありがとうございます!
鈴音 2009/04/24 18:44 EDIT RES
Re:無題
いえいえ〜。こちらこそ、遅くなってしまってすいません
想像して書いてるとき、楽しかったです^ω^
初夏 2009/05/03 09:29