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かると第四弾、『羽』です。
これは、提案したの私だったかな?
そしてまたしてもノープランです←
最近みんな更新してないので、これを見て更新してくれたらいいなーと思います。
ていうか、テスト期間中に何してんだって話ですよね。
しょうがないんだよ!書きたくなっちゃったんだから←
ではでは、続きよりどうぞ。
久しぶりに部室へ行くと、そこにいたのは林檎だった。
「あれ、光くんだ!今日は早いね」
「うん。ホームルーム終わってすぐ来たから」
「最近忙しいの?全然部に来ないから、みんな心配してたよ。しょーちゃんなんか、『あんまり休むと退部になるし、そろそろ来ないとヤバいわよ』って言ってた」
それはたぶん部費が減る心配じゃないかな……
そう思ったけど敢えて言わずに、僕は苦笑した。
僕の家は父子家庭だ。しかも、妹と弟が一人ずついる。弟は一個下だし放っといても大丈夫だけど、妹はまだ三歳で保育園に通っている。父親である真人は家事なんか出来ないから、結局僕がやらなきゃならない。
そう言う訳で、僕が部に行ける日数は少ない。よって、怒られたり心配かけたりすることになる。
「うんまぁ。僕がって言うか真人がだけど」
「おじさんいろいろやってるもんね」
「それで儲かってりゃいいけどね」
「おじさん頑張ってるんだし、いいじゃん」
林檎が笑う。その満面の笑顔に、僕は惚れたのだ。
大好きだと言えたらと思う。伝えられたら、何か変わるのか、とも。
「そういえば、優くんは?」
ほら、きた。
林檎が好きなのは、僕じゃない。僕の従弟の優樹だ。
ちなみに僕の名前は光樹。従兄弟同士にこんなふざけた名前をつけたのは真人だ。こういう名前は双子につけるべきだと思う。
感情の変化を気取られないように、僕は林檎の問いに答える。
「行かないとか言ってたけど、加耶に頼んどいたから来ると思うよ」
僕は、底意地が悪いと思う。素直に「来ると思う」って言えないんだから。
優樹が加耶のことを好きなのは周知の事実だ。今でこそあいつは部のみんなとも仲がいいけど、入部当初は僕と加耶以外の他人と言葉を交わすことは無かったのだ。そもそも入学してすぐは僕としか話さなかった。その優樹が初めて心を許したクラスメイトが、加耶。特別に決まっていた。
「……そっか」
林檎は一瞬黙って、それでも笑顔を浮かべた。
そこが、林檎のすごいところだ。僕には絶対に出来ない。
泥の中に顔を付けられてなお、笑っていられる人間はいないだろう。でも林檎なら、きっと笑ってみせる。そう思う。
「そうだ!光くん、これあげる」
林檎は思い出したように鞄から小さな袋を取り出した。開けてみると、中には小さな蒼い羽のストラップが入っていた。
「この間旅行に行ったんだけど、そのお土産」
「……ありがとう」
「あ、みんなには内緒ね!みんなには箱詰めのお菓子を分けて渡しただけだから」
そんな一言に、舞い上がりそうになる。自分にだけだと言うストラップのお土産。嬉しかった。
「その蒼を見て、光くんの色だって思ったの。それで思わず買っちゃった」
「…………」
「光くん?」
嬉しすぎて、僕は思わず林檎の頬にキスをしていた。林檎の頬が紅くなる。本物のリンゴのように。
絶対に大切にしよう。そう思いながらストラップを鞄にしまい、僕は林檎に笑った。
「みんなが来るまで、オセロでもしよっか」
「…………えっ!?あ、うん」
慌てる林檎の様子にこっそり笑いながら、僕はオセロセットを取り出した。その後も林檎はなんだかぎこちない様子で、いつもなら接戦になるのに、林檎はミス連発で大差で負けた。
その様子も、いつもより可愛くて。
いつまでも大地を這いずり回るだけの僕に、
空を教えてくれたのは君だった。
君がくれた羽のおかげで、
僕はまた飛べるようになったんだ。
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