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「むぅ」
凪帆(なぎほ)は頬をふくらませた。すると、親友の春乃(はるの)が凪帆のおでこをピンと指ではじく。
「凪ちゃん。主役がそんな顔してちゃだめだよぅ」
「だってさ〜」
凪帆はしぶった。
今日は凪帆の誕生日だ。学校が終わったので、誕生日パーティーをやっている。さっき、全員が来たとこだった。
一人を除いて。
「・・・ったく、友達の誕生日パーティーに来ないってどーゆーことよーーーーーーっ!!!!!!」
「な、凪ちゃん、落ち着いて・・・」
春乃に言われ、ハッとする。
そう。ここは家。しかもリビング。さらにみんないる。
「ゴ、ゴメン、気にしないで」
凪帆は苦笑しながらみんなに言った。すると、みんなは気にせずに話しだす。
そんな中、1人の男子が声をかけて来た。
「どーした、凪帆。ストレスたまってんのか?小魚食う?」
隆亮(たかあき)だった。
「残念ながら小魚食っても無意味よ。あのバカが来てないんだから」
「なんだ、スネてんのか」
「違うっ!」
「まーまー。あいつもなんか理由があんだよ。待ってりゃ来るって。これやるから機嫌直せよ。な?」
破顔一笑。流石である。
隆亮が差し出したのは、期間限定のチョコレート。
「うん」
((立ち直り早っ!!!!))
その場にいた隆亮と春乃以外の全員がツッコんだ。
「それにしても・・・ホント、陽くんどーしたんだろ?」
春乃は首を傾げた。
凪帆は知らないが、陽輝(ようき)が1番今日を楽しみにしていたのだ。
『陽くん、凪ちゃんに何あげるの?』
『秘密だ。見てのお楽しみな!』
・・・そう言っていた陽輝を思い出す。陽輝は本当に楽しみな顔をしていた。
「ほっとこ!まったく、もう知らないんだから」
そう言うと、凪帆は他の友達としゃべり始めた。
2時間後。
友達はもう帰り、リビングには凪帆、春乃、隆亮が残っていた。
「もうっ!陽希のやつ連絡もしてこないつもりっ!?」
「凪ちゃん・・・」
凪帆はさっきからこんな調子だった。そんな凪帆を、春乃は苦笑してたしなめる。
「ったく・・・」
いつもはどんなときも笑っている隆亮も、険しい顔をしている。
隆亮たち4人は、いつも一緒にいる。出会ったのは小学校のころだっただろうか。その時から、心配をかけるのはいつも陽輝だった。いつもいつも心配をかけ、凪帆に怒られるのだ。
けれど、こんなに無鉄砲なことをするのは今回が初めてだった。凪帆も口では怒っているが、本当はすごく心配しているのを春乃も隆亮も知っている。だから2人とも、怒るのをやめろとは言わなかった。隆亮と春乃も同じ気持ちだからだ。
そろそろ帰ろうかと隆亮が腰をあげかけた、その時。
プルルルル‥…
電話が鳴った。
「陽輝、かな」
呟き、凪帆は受話器を取った。
「はい、波崎(なみさき)です」
『凪帆か?』
相手は、陽輝だった。
「よっ、陽輝!?」
『おう!・・・今、いいか?』
「バカ!あたしの誕生日、あと何時間かわかってんの!?」
『4時間だろ。・・・今から迎えに行く!』
プツッ、ツー、ツー、ツー‥…
急に電話が切れる。
陽輝のあまりのいきなりさに、凪帆は怒った。
「何よ!一方的に言って一方的に切って!」
ピーンポーン
「「「早っ!!!」」」
2分もしないうちに鳴ったインターホンの音を聞き、3人は思わずツッコんだ。
凪帆はムカ付きながら、インターホンの受話器を取る。
ちなみに、インターホンを押した相手は既に判っていた。インターホンにカメラがついているためだ。
「はい?」
わざと語尾をあげてみる。だが、相手はそれに気づかない。
『あ、空杜(そらと)です———』
「わかってるわよ。おとなしくそこで待ってなさい!」
陽輝の言葉をさえぎり、凪帆は玄関へと向かう。春乃と隆亮も一緒だ。
「陽輝!」
怒鳴りながら外へ出る。
凪帆はかなり怒っていた。当たり前だ。約束を破るわ、連絡はしないわ—————凪帆が怒るのも当然のことだった。
その証拠に、春乃と隆亮も険しい顔をしていた。
「な、凪帆・・・」
怒られることを気配で察知したのか、陽輝の声が小さくなる。
「さぁて。覚悟はできてるんでしょうねぇ」
指をポキポキ鳴らす凪帆は、冗談ぬきで恐かった。
けれど、陽輝は負けずに説得しようとする。
「ゴメン、凪帆。でも、怒るのはあとにしてくれない?」
「ダメに決まってんでしょうがこの大馬鹿者!」
「で、でもさ・・・」
「問答無よ——」
「ちょい待て、凪帆」
話を聞かずに一発殴ろうとしていた凪帆を止めたのは、隆亮だった。
「何よ、隆亮」
「なんか、急ぎっぽい」
「それがどうかしたの?」
「怒るのはあとにして、今は陽輝の好きにしてやろうぜ」
凪帆は驚いた。今になって隆亮がそんなことを言い出すとは———
「凪ちゃん。わたしからも、お願い」
春乃まで手を合わせている。
凪帆は根負けした。
「わかったわよ。・・・春乃にまで言われちゃね。そのかわり、それだけのこと、しなさいよ。変なことなら承知しないからね」
「おう!じゃ、ちょっと乗って。・・・タカ!」
隆亮に合図し、陽輝は凪帆を自転車の後ろに乗せて走り出す。その後ろを、春乃を後ろに乗せた隆亮が自転車でついて行く。
「ちょっ、陽輝っ」
「こっちだ!」
凪帆の言葉も聞かず、陽輝は走る。
着いたところは、凪帆の家から少し遠い、小さな丘だった。
「な、何よここ。何にもないじゃ———」
「上。見て」
陽輝がいたずらっぽく笑う。
その顔があまりに得意そうなので、凪帆は上を見た。
「うわぁ」
凪帆は歓声をあげた。
そこにあったのは、満天の星空だった。凪帆の家では見えないような、たくさんの星々の輝く、空。
「きれい———」
春乃が呟く。
凪帆は陽輝を見た。
「もしかして、これを———?」
「そ。誕生日プレゼント。ずっと、きれいに見えるとこ探してたんだ」
陽輝が笑う。さっきのいたずらっぽい笑みではなく、本当に嬉しそうに。
「15歳、おめでとう。凪帆」
「陽輝・・・」
凪帆は思わず、陽輝に抱きついた。
「ありがと、陽輝」
end.
******************************
〜あとがき〜
できたー!!
やっと完成・・・これ書くのに何時間費やしたことか。
まぁ、できたからよしとしよう。終わりよければ全てよし!
実は、これ、また違う終わり方も考えていたりして。でも、今日は書きません。後日書くかも。でも、書くとしても [続き] でなので、みなさん、要チェックですよ!(誰だよオイ)
それにしても・・・まだ企画一作目なのにこんなにかかってていいんでしょうか。いや、よくない。よくないはずです。
なので、次からはもっと手早く書けるように頑張ります!
サブエンディング、書きました〜。
凪帆が電話をとるとこからです。[ 死にネタ注意 ] のとこからどうぞ。
この企画は、タクトと相互記念で考えた企画です。
内容は、タクトが考えたお題をわたしが書いて、わたしが考えたお題をタクトが書く、というものです。
一応この企画の参加者はタクトとわたしのみです。これ以上増えるといろいろと面倒なので(^_^;
参加したいって方、すみません。どうしてもという方はコメントしてください。
タクトと検討してからコメント返信にてお知らせします。
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『黒猫さんの夢』
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